kuroebiのトーナメント指南 第34回:RAGE Shadowverse Wonderland Dreams GRAND FINALS総括
「Wonderland Dreams / ワンダーランド・ドリームズ」環境最強のプレイヤーを決める大会、RAGE。
摩訶不思議、そして複雑怪奇なフィールドに挑むことになった8人が持ち寄った解答は、さまざまな思惑が絡み合った実に興味深いものとなり、選択肢が多い現環境で勝ちきるのがどれほど難しいことかを証明する結果となりました。
↑優勝は最後まであきらめることなく勝利の可能性を追求しきった男、「山形の若旦那」“Surre”選手!(写真提供:RAGE)
頂点を取るためのクラス選択
3リーダーBO5というGRAND FINALS恒例となったこのルールは、使用するクラスが増加するため、予選よりも広く深い研究を行なう必要があります。今回のフィールドは、ニュートラルデッキの登場により「クラス単位ではなく、デッキの傾向を見て対策する」という概念が強く求められたように感じました。
さて、8人のファイナリストは何を考え、どのようなデッキを持ち込んだのでしょうか。
必勝を求められるこの厳しい大会においてネクロマンサーの安定性への信頼は揺るがず、ほとんどのプレイヤーが選択しました。
第2、第3のクラス選びについては、3デッキ120枚ともまったく一緒のリストを持ち込んだりんご選手とあぐのむ/SVG選手以外は同一のものがないという、戦う者たちにとっては非常に勝ちにくいトーナメントとなりました。
その中で、tizin選手はネクロマンサーを選ぶのではなくネクロマンサーを倒す側に回るという策を実行に移し、みごと準優勝に輝いています。
Finalistデッキ紹介
GRAND FINALSという舞台は、組み合わせ抽選によって初戦の相手、そしてその後に当たることが想定される相手が見えているため、プレイヤーのデッキ選択に多大な影響を与え、特殊な戦いを強制します。この独特の感覚は、ファイナリストになった者にしか理解できないのかもしれません。
ネクロマンサーは《[[魔将軍・ヘクター]]》を軸にすえたものを最多の6名が使用し、抜群の人気を誇りました。しかしデッキ自体はそれぞれ細かくカスタマイズが異なっており、GRAND FINALSで各々がどんなデッキが多いと想定したかが伝わってきます。
ドラゴンやパワフルな展開をしかけてくるニュートラルデッキに少しでも対抗するために《[[ネクロアサシン]]》が評価され、3枚投入したリストも見つかるほどです。また《[[闇の従者]]》も遅いデッキに対して有効ということで、今大会ではよく見るカードとなりました。
↑《[[ネクロアサシン]]》《[[闇の従者]]》を利用するファント選手のデッキ、デッキコードはこちら
超越ウィッチの巧者として知られるmisobon選手と初戦で激突することになったオチ選手は苦悩しました。misobon選手が超越ウィッチを使う可能性は高いだろうが、その考えを読まれて逆手に取られる危険もある。しかし初戦を勝たなければ優勝することはできない……。悩んだ末、オチ選手は非常に攻撃的なデッキ3種で超越ウィッチを絶対に倒す選択を行ないましたが、misobon選手のウィッチは無情にも彼が得意とする超越ウィッチではなかったのです。オチ選手はあと体力1点というところまでmisobon選手を追い詰めましたが、その1点に泣くこととなりました。
↑攻撃的に寄せたオチ選手のデッキ、デッキコードはこちら
そのmisobon選手が、2度のGRAND FINALS到達の原動力となった自身の魂とも言える《[[次元の超越]]》を捨ててまで使用したのは、ニュートラル軸のウィッチデッキでした。ニュートラルギミックが劇的に作用するこのデッキは、一線級の活躍を続けています。
↑予想を裏切ったmisobon選手のウィッチデッキ、デッキコードはこちら
kira選手は旧友であるSurre選手の趣向を分析し、遅いデッキへのキラーデッキとして機能する超越ウィッチを使用しました。それも序盤の盤面制圧のためのカードを極力減らしてカードを引きに行く構成という一見リスキーにも思える選択でしたが、Surre選手の遅めのデッキにまさにピンポイントで刺さるカスタマイズと言えます。
↑遅いデッキをメタったkira選手のデッキ、デッキコードはこちら
《[[黄金郷の獅子]]》とニュートラル軸をフィーチャーした獅子ビショップ。その圧倒的爆発力に目を奪われがちですが、高い勝率を出すために実は繊細なプレイが求められるデッキとして知られています。
あぐのむ/SVG選手とりんご選手が所属するチームでの調整は、限られたカード引き増しの手段を補い、少しでも理想的な展開に近づけるために《[[覇食帝・カイザ]]》と《[[ゴブリンプリンセス]]》を3枚ずつ投入するというテクニックに帰結しました。また同型対決や不利なドラゴン対決で勝利を収めるテクニックとして《[[彷徨の詩人・エルタ]]》の進化時効果に目を付けています。
↑《[[覇食帝・カイザ]]》と《[[ゴブリンプリンセス]]》が投入されたあぐのむ/SVG選手のデッキ、デッキコードはこちら
そして、第3の選択はドラゴンでした。クラスの特徴であるPPを増やす動きから強力なアクションを連打するお決まりの展開は、環境がどう変化しても変わらない魅力があります。特に《[[魔海の女王]]》が登場したことでさまざまな角度からの逆転を狙えるようになり、《[[バハムート]]》と《[[連なる咆哮]]》を0コストで順番にプレイするというパワープレイも見られました。
↑《[[魔海の女王]]》のパワーが生きるりんご選手のデッキ、デッキコードはこちら
準優勝のtizin選手は、前述のとおりほかの選手とは違う目線で今大会を見ていました。最大派閥になるであろうネクロマンサー、そして次戦のブロックに控えるmisobon選手までも意識した攻撃的かつ独創的なデッキ・カード選択はまさに「名古屋の原石」という2つ名を超え、ダイヤモンド級の破壊力をもたらしました。
潜伏ロイヤル、カラボスヴァンパイア、そして速攻も長期戦も狙えるニュートラル「コントロール」ウィッチというtizin選手にしかできないデッキ選択、そしてその卓越したプレイスキルは、見る者すべてを震撼させました。
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↑独創的なtizin選手の3つのデッキ
そのtizin選手と決勝戦で対面したSurre選手は、自身のプレイスタイルに合致したネクロマンサーとドラゴンという、序盤は耐えて中盤から後半にかけ一気に盛り返していく強力なデッキに加え、秘策としてコントロールヴァンパイアを持ち込みました。Surre選手が信頼するデッキビルダーから預けられたこのデッキは、tizin選手を完全に粉砕しSurre選手を優勝へと導く、まさに値千金の一品だったのです。
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↑後半戦を見越したSurre選手の3つのデッキ
次なる戦いへ!
こうして彼らの夏を彩る戦いは閉幕を迎えました。しかし戦いはまだまだ終わりません。
秋から冬へ季節は流れ、RAGE 2017 Winterシーズンが新カードパック「Starforged Legends / 星神の伝説」のリリースと共に始まります。
優勝者・準優勝者には12月23日に開催されるRAGE Shadowverse World Grand Prixへの出場権も付与されることが発表されています。さらなる激闘が予想される次回のRAGEに向けて、ぜひ皆様も研鑽を積み、準備を整えておいていただければと思います。
次回RAGE大会日程発表:https://rage-esports.jp/event/sl-wgp
次回予告
次回コラムでは、待望の「Starforged Legends / 星神の伝説」の注目カードについて紹介していきたいと思います。